声や楽器が鳴り響き、
こだまする。
別の何ものかを共鳴させ、
他者の心に共感する。

声や楽器が鳴り響き、こだまする。

ただひと鳴りで絶える「単音」ではなく、様々なものに反響して他の音と呼び交わしあい、こだましあう、「奥深い音の響き」を意味しています。音から音へ、寄せては返す響きの波は、やがて空間の中に遠く消えて行きますが、物理的な音そのものが無に帰した後も、余韻となって再び(re)耳の奥に響き(sonance)続けます。

別の何ものかを共鳴させ、
他者の心に共感する。

そしてその通りに音楽は、私たちの眠れる心に何かを呼び起こすだけでなく、その響きと共感の余韻を、幾重にも波打ち広がるさざ波の輪のように、時空を超え、世代を超えて伝えていくのです。

音楽への共感を、私たちをはぐくむ自然と人への共感を、古都を愛する人々の心に響かせ、次の世代へと長く静かにこだまさせ続けたい。そんな願いの結実が「レゾナンス」コンサートシリーズです。


レゾナンスの想い
Manifesto of Our ReSonance

鎌倉・逗子・葉山地域は優れた音楽家を多く輩出しており、現在もさまざまな世代の音楽家たちが住んでいます。それにもかかわらず、本格的な音楽を享受できる場は地域内に乏しく、住民は、音楽を楽しむためにはほとんど東京または横浜に出かけてしまいます。一方で、生の音楽を楽しみたくても、高齢により、または子育てや仕事等により、遠出の出来ない地元の愛好家も多いのです。生活の拠点を鎌倉・逗葉地域・湘南地域・三浦半島地域に置く音楽家、さらに鎌倉の文化や自然を心から愛する音楽家が中心となって、「日常生活の中で音楽を楽しむ」文化、鎌倉という土地に根差した音楽文化を、地道に末永く築いていきたいのです。

洋の東西を問わず、音楽は本来、それを生む場や人と密接に結びついており、そのことが個性ある作品の様式や演奏様式、音楽家たちの創意あふれる営みを生み出す原動力となってきました。しかし現代では、メディアの発達やグローバリズムの浸透によって、音楽を生み出す「場」の力が薄れ、音楽は本来その存在意義となる「背景」を失ってしまったかに見えます。音楽家自身が地域に拠点を置き、地域から発信することによって、21世紀の都市文化のあり方への提言を行います。

観光地である鎌倉には、常に多くの人々が訪れています。現代の鎌倉の賑やかな「目に見える」姿だけを見て通過していくのではなく、「目に見えない」文化や歴史、人々の絆、ただそこにあるだけで素晴らしい自然の力にも触れてもらい、鎌倉との心の絆を築いていきます。また住民である我々自身も、日常の喧騒や慌ただしさの中で見失いがちな鎌倉の恵みに目を凝らし、耳を澄ませるひと時を取り戻していきます。

演奏家の使命は、自らがコンサートホールに籠り、「音楽を聴きたければ、ここに来てください」と言うことではありません。このコンサートシリーズでは、演奏家自身が市民の生活の場に出かけていき、生活の中に音楽を提供することを目指します。シリーズの中では、本格的なスタイルのコンサートだけではなく、気の張らないカフェ・コンサート、市内の学校・幼稚園等を対象とした教育プログラム、市内の愛好家のためのレッスン・プログラムなども実施し、多様な音楽の楽しみ方を実践的に提案していきます。会場も、なるべくコンサートホールではなく、市民の生活圏内の様々な施設の協力を仰ぎ、活用します。市街の様子は常に目まぐるしく変化しているので、(防災や生活サポートの意味で)新しい住民だけでなく、古くからの住民にとっても、「街の姿」と「街に暮らす人」を知り、再発見する機会にしたいと考えています。

将来にわたり、作曲・演奏・舞台制作において、鎌倉にゆかりの国際的人脈を生かした人材交流を行い、東西文化の交流と相互理解の新しい形を鎌倉から発信していきます。

企画・制作
吉井 瑞穂
(ドイツ マーラー・チェンバー・オーケストラ主席オーボエ奏者)
佐藤 友紀
(東京交響楽団首席トランペット奏者)
有田 栄
(昭和音楽大学教授、音楽学者)
原 典子
(編集者・音楽ライター)

企画・制作協力
二藤部知哉 (インフォメーションアーキテクト)

写真
松藤 飛洋 (フォトグラファー)